デンマーク、コペンハーゲンから車で北に三〇分。サンビーの街に壮大な農場がある。『サザビーズ・ドメイン』誌でお目にかかりそうな〈フランスはエヴィアンのネオクラシカルなパレス〉や、〈オーストリア、ザルツブルクのウォーターフロントの大邸宅〉などとともに紹介されていそうな住居である。約五ヘクタールの敷地内には、今世紀初頭に造られた素晴らしい草葺屋根の大邸宅に豪華なプールや噴水、魚の泳ぐ池、中庭、青々と繁った木々そして完璧に刈り込まれた生垣。この歴史的な家屋の中には、意外にもモダンな味付がしてある。ファンキーな照明設備、鮮やかな色のソファ、鋼鉄のような青色をしたラグ、そして毛皮……毛皮だらけだ。本部なのである。一九八八年以来、サガは世界中から二万人以上のプロフェッショナルを歓待してきた。ファッション・デザイナー、毛皮業者、トレンド予測者、デザイン学校の教師や生徒などなど。ベテランから駆け出しまで、あらゆるデザイナーが、五日間の無料招待に惹かれてこの広大な敷地に集まってくる。そして、滞在中は、敷地内でくつろいだり、美術品の並ぶ邸宅の食堂でグルメ・フードに舌鼓を打ったり、地元の毛皮農場の見学に出かけたり、地所内にあるサガのワークショップで最新の毛皮加工技術について学んだりするのである。粋な計らいの旅を提供するのはマーケティングとパブリシティの常套手段だが(私も一度、なぜかパルメザン・チーズのメーカーから一週間の無料イタリア旅行に招かれたことがある。