リフトアップ効果を有する理想的な装置

2011.04.20

パスカル医師の話に「目からウロコ」状態になった私は、後日、すぐに当クリニックのモデルさんに麻酔を用いてサーマクールを体験してもらうことにした。結果は、あれほど激しい痛みを伴った治療が、何のトラブルもなしにスムーズに行われ、そのあとの治療評価では、術前と3週間後の写真を比較すると明らかに良好で、その報告に私は感動した。それは、メスを用いて行うフェイスリフト手術に匹敵するものだったのだ。こうして、「激しい痛み」をコントロールできれば、サーマクールはリフトアップ効果を有する理想的な装置である、ということが確認された。治療後の腫れもなく、直後から普通の生活ができるという点もサーマクールの大きな魅力だ。使用料金も適正なものとなりつつあり、従来のフェイスリフト手術に比べると料金は四分の一程度だ。一度治療すると、少なくとも数年その効果が持続し、数年たってから再度、治療することも可能である。気になる副作用についても不安を感じるような報告はなかった。さて、東京での学会のあと、しばらくしてから私は、ハワイにあるパスカル医師のクリニックを訪れた。ちょうどその日、パスカル医師はダミー・タック(お腹の弛みを縮める外科手術)が予定されていたが、話のなりゆきで彼の手術の助手として私が手術に参加することとなった。全身麻酔下で行われるこの手術は、患者さんは完全に意識がない。パスカル医師は手術が始まるとそれまで流していたイージーリスニングからビートのきいたラップーミュージックに切り替え、音楽のボリュームをアップした。私たちはこのラップーミュージックを聞きながら夢中で手術を行った。手術の緊張感と達成感は外科医が共通に感じ合える特別な喜びだ。二人の医師で行ったこの治療は通常よりも早く、スムーズに終わった。外科医はメスをふるうことに自分たちの存在価値を見い出すが、サーマクールのような優れた装置が出てくると、どんどんメスを持つチャンスが減る気がしないでもない。しかし、切らないできれいになるに越したことはないわけで、顔のリフトアップに関しては、外科手術はサーマクールに負けを認めざるを得なくなる日は近いだろう。術後、レストランでジョッキを傾けながら、そんなことを語り合い、再会を喜んだのだが、私たちの結論は一致していた。それはどんなに機械や設備が進歩しても、外科医の直観と技術が大きな力を発揮し、判断と方向づけを果たしていくだろう、ということだった。